狂いゆく世界で 〜オードの兄妹〜


兄妹相姦


セリスの率いた解放軍は乾坤一擲の勝負に敗れ、最後となった戦いは殲滅戦の様相を呈した。
その後も厳しい残党狩りが行なわれたが、無論、一人残らず皆殺しにされたわけではない。
少数ではあるが、生き延びたものも存在する。

「いやっ、いやぁっ!」
「やめろっ、やめろぉ……! 頼む、やめてくれぇ……!」

例えばこの、ラクチェとスカサハ。オードの血を引く、イザークの双子のように。

「こんなっ、狂ってる……! わたしたち、兄妹なのよっ!?」
「そうだ……こんなことは、こんなことは許されないっ!!」
「うるさいっ!」

業を煮やし、怒鳴り声を上げた男は強かにラクチェの頬を打ち、スカサハの鳩尾を踏みつけた。

「きゃっ!」
「……っぐ!」

かつて、帝国の兵士から死神のように恐れられた双子の剣士に、抗う術はなかった。
全裸で床に横たえられたスカサハは四肢をX字に伸ばされ、拘束されている。
手足首を石畳に縫い付ける鉄枷は、銀の大剣を自在に振るった彼の膂力でもビクともしない。

一方のラクチェもまた、兄と同様、生まれたままの姿にされて、こちらは鎖で宙吊りにされていた。
流星の如き斬撃を繰り出した双腕は後ろ手にまとめられ、
疾風のように戦場を駆け抜けた両足はM字開脚の恥辱姿勢に固められている。

「糞ったれな帝国を! ロプト教団の悪魔どもを! 八つ裂きにするためだ!
 大体なぁ……てめぇら解放軍が温いことしてねぇでどんな手を使ってでも勝っとけばよかった話だろうが!」

男が吠える。その咆哮に篭もる切実な響きは、二人の心を容赦なく抉った。

「それは……! でも、だけど、こんなのって……」
「そ、そうだ! こんなやり方っ……連中と何が違うっていうんだ……!」
「黙れっ! 無様に負けといて、まだ英雄気取りか? 偉そうに説教するんじゃねぇっ」

怒りに燃え盛る男は、危うい光にぎらついた視線をラクチェへと向けた。
厳密には、ラクチェの下腹部、そして両脚を割り開かれた股間へと。

はしたない大股開きを強いられ、見せつけるように晒されたラクチェの聖域。
一切の守りを奪われ、剥き出しにされた、少女の一番大切で、恥ずかしい場所。

母親譲りの豊かな黒髪から予想されるとおり、ラクチェのそこは、濃い性毛に覆われていた。
しかし、細く柔らかな毛質と、清楚に整った生え方のために、少しも下品な印象は受けない。
むしろビロードを思わせる光沢と質感が、神々しい美しささえ感じさせる。

そして、その叢の下に走る、ぴったりと閉じ合わされた一筋の縦裂。
微塵の穢れも感じさせない佇まいは、処女のものでしかありえない。

光差す世界を願い、闇を祓わんとその細腕に剣をとったラクチェ。
年頃の少女らしい幸せを――甘酸っぱい恋に身を焦がす、そんなささやかな幸せさえかなぐり捨てて。
人々が笑って暮らせる世界のために、その全てを捧げてきた――。

純潔は、彼女の高潔さが本物であったことの、悲しい証だった。

「英雄を気取りたいっていうならよぉ……俺たちの役に立ちなっ! 畜生みてぇに――」

そんな尊い純潔が今、あまりにも非情な形で散らされようとしていた。


「 兄 妹 で ま ぐ わ っ て!

  畜 生 子 の ガ キ を ひ り だ し て な ぁ っ !!」



鎖に吊られたラクチェの体は、地面に磔られたスカサハから、いくらも離れていない。
そして、ちょうどスカサハの股間の真上に、ラクチェは吊るされていた。

――つまり。
薬を打たれ、いきり勃った兄のペニスのすぐ上に、妹の処女孔は浮かんでいるのだ――。

そして、半ば正気を失い、上気した顔を凄絶な笑みに歪めた男は、その手をレバーにかけている。
もちろんそれは、ラクチェを吊るす鎖の高さを調節するためのものだ。

「さあ英雄様よぉっ! 兄妹でのご結婚! まことにおめでとうございますっっ!!」

狂気に満ちた哄笑を上げて、男がレバーを振り下ろす。

「やめろぉぉぉおぉぉおぉぉぉっっ!」
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁっっ!」

絶望に満ちた悲鳴を上げて、兄妹は畜生道へと堕ちてゆく――。


その瞬間。二人の脳裏に、全く同じ思い出が甦っていた。
それは、生まれた時から当たり前のように一緒だった二人の、温かな思い出だった。

――ブチン。

ラクチェの体が落下して、スカサハの剛直がその処女膜を引き裂いた、この瞬間を境に。
もはや永遠に戻ることの無い、二人の、掛け替えの無い時間の記憶だった。


薄暗い地下室に、筆舌に尽くしがたい絶叫が響き渡る。
それはやがて、赦しを求める哀願や非道を糾弾する叱責となる。
さらには怨嗟の嘆きとなり、快楽に毒された喘ぎとなって、ついには諦観のすすり泣きとなった。

太陽のように燃え盛った炎が、萎み消えてゆくように、双子の英雄がその聖性を失ってゆく。
自らの手で演出した惨たらしい悲劇に、男は高らかな哄笑を謳い続けた。

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