続、紅葉・放課後の戯れ 〜丹、堕天使編〜 (中)


 熟れた生足にハイヒールをつっかけ、御堂紅葉は壁際の棚へと歩いていく。
 溢れ出した精液が肉感的な太腿を伝うのを、まるで気にする素振りもなく、
 エセ保険医はテキパキと可愛い生徒のための治療器具を準備する。

 まずは洗面器とバケツ。
 そして、ガラス製の筒――言わずもがなの浣腸器に、液体を湛えた白い容器。
 こちらも当然、そのラベルには『グリセリン』。

 すぐ傍にある蛇口をひねり、洗面器に水を溜めてグリセリンと混ぜる。
 初めてだし、あまり濃いのも可哀想ね、とまたも間違った方向に優しさを発揮しながら、
 それでもなお十パーセントとエネマ処女にはかなり厳しい濃度のグリセリン溶液が出来上がる。

 茜たちの尻穴には原液そのままのグリセリンや、
 あるいはもっとエゲツナイモノを浣腸してきた紅葉の感覚は、相当に業界ズレ(?)していた。

 浣腸器の先端を浸し、シリンダーを引く。
 一リットルの溶液がガラス管を満たし、哀れな少女を極限の羞恥地獄に突き落とす残酷な凶器が完成した。
 準備万端、女呪術師は意気揚々と新しいオモチャが待つベッドへと引き返していく。

 いまだ情交の湯気くゆる簡素な寝台の上で、うつ伏せになった少女の肢体。
 責め抜かれ、搾り尽くされた御堂丹が、生気を失った瞳を半開きにして横たわっていた。
 肉付きの薄いお腹の下に丸めた毛布を差し込まれ、可愛い小尻を持ち上げている。

 若さ弾ける尻肌をそっと一撫で味見して、御堂紅葉は少女の恥部を暴きにかかる。
 浅い臀裂に両手の親指を差し入れて、薄い尻房を左右に開く。

「あっ……ぅ……」

 谷底に流れこんだ外気の慣れない感触に、半ば失神した少女の口から、か細い呻き声が漏れる。
 詳らかにされた菊蕾はまわりの肌と何ら変わりのない色合いをして、慎ましげな薄い皺が数本、形よく並んでいるだけ。
 溜め息が出るほど清楚で、可憐な佇まいであった。
 それを見た女呪術師は愛しげに目を細め、愉しげに口端を吊り上げて、浣腸器の切っ先をあてがう。

「んっ……ぅ、あっ、あぁっ……!?」

 ヒヤリとする冷たさを、ありえない場所で感じて、虚ろにぼやけていた瞳がゆっくりと焦点を結んでいく。

「せん、せい……? これは……」

 やがて朦朧としながらも、可愛い教え子がどうにか意識を取り戻したのを見計らい――

「はーい。まずはお腹の中をキレイキレイにしましょうねー♪」

 容赦なく、シリンダーを押し込んだ。

「ひぁっ!? あっ、んうぅぅ……っ!?」

 繊細な年頃の少女にとっては、あまりにも過酷な恥辱をもたらす液体が、排出用の孔を逆流していく。
みるみる注入され、たちまち痛み出した下腹部に、丹は凛々しい顔立ちを歪め、差し迫った唸り声を吹き零した。

「んっ、ぐぅっ……ぅっ、あぁあぁっ!?」
「うふふふっ♪」

 戸惑いと苦悶に喘ぐ生徒に、エセ保健医は鼻歌さえ歌い出しそうなほど上機嫌。
 無情なペースを保ってグイグイとシリンダーを押し込んでいく。
 ようやくその手を止めた時には、きっかり一リットルものグリセリン水溶液が見習い退魔師の肛腔を蹂躙していた。

「っ……っ……っ……!」

 丹はもう、息も出来ない。
 内側から無数の針で突き刺されているように痛む下腹部。
 腸壁は壊れたゼンマイ仕掛けのように出鱈目に蠕動し、引きつり蠢く括約筋は今にも裏返ってしまいそうだ。

「せんせ……イれ……ト、イレぇ……」

 絶息の苦しみを味わいながら、なんとかそれだけを絞り出す。

「ええ。はい、ト・イ・レ♪」

 愉快で仕方ないのだろう。一オクターブ弾んだ声でそうおっしゃると、優しい先生はお尻の下に洗面器を置いて下さった。

「う……そ……」
「ホ・ン・ト♪」
「むり、ですっ……でき、ません……!」

 思春期の少女である。羞恥心の一際強い年頃だ。
 激しい疼痛のために蒼白となっていた顔色を赤く染め上げ、精一杯の反駁を試みる。

「ッ……ゆるして……ゆるしてくださ」

 なけなしの勇気を振り絞った懇願。

「ダメ。しなさい」
「ひっ……!」

 それさえ途中で遮られ、有無を言わせぬ口調で命じられると、抵抗の気持ちはあっさりと挫けた。
 一段低い、怒気を感じさせる紅葉の声を聞いた瞬間、丹の身体は竦み上がり、ガクガクと震えている。

 搾られ、焦らされ、啼かされた筆下ろし逆レイプは、まだ幼く、未成熟な少女にとって、あまりにも過酷だったのだ。
 トラウマレベルで植えつけられた紅葉への畏怖が、隷従の鎖となって丹の心だけでなく体までをもを縛りつけていた。

「ここで、これに。しなさい。丹ちゃん」
「はっ、はいっ、はいぃ……!」

 もう一度、諭すように繰り返されると、その優しい声音がまた余計に恐ろしくて、丹はもう頷くしかない。
 そして、怯えきった少女に対して、サディストの女教師はどこまでも執拗で、無慈悲だった。

「ばっちり、見ててあげるから♪」
「ひぃっ!? あっ、うあぁ……!」

 その一言さえなければ、丹は恐怖に駆り立てられるまま無我夢中の内に羞恥地獄を渡り切ることが出来ただろう。
 しかし、貪欲な快楽主義者がそんなつまらない逃げ道を許すはずもなく。少女の心理を読み切って、完璧な布石を打つ。
 哀れ見習い退魔師は、老獪な呪術師の掌の上、恥辱のダンスを踊らせる。

「うっ、ううっ、ヒうぅっ……!」

 排泄――それも大きい方を、人前で――この世に、これ以上恥ずかしいことがあるだろうか。
 涼しく整った顔立ちは赤くなったり青くなったり。見るも危うげな様相を呈している。

 絶壁の崖際に追い込まれたような気分だった。
 それも、もう踵さえ宙に突き出て、爪先だけで残る体を強風に煽られているような。

――グキュッ、グキュルルゥッ!!

 恐ろしさと恥ずかしさの板ばさみになり、進退窮まった丹に、さらなる追い討ちをかける下腹の激痛。
 腸内で猛威を奮うグリセリン溶液が限界を超えた便意を催させ、乙女にあるまじき落日を迫る。

「ひぅっ、んぎっ、ふぐぅぅ……っ」

 ブチリ、と。
 脳の血管が、何本かまとめて切れる音がした――そんな錯覚さえ伴って、諦観の毒が急速に丹の心身を蝕み始める。
 ガチガチに息み、固まりきっていた全身から、力みと、もっと大事な何かが抜けていく。

 喪失の弛緩は、やがて少女の小高な臀丘、その谷間に咲く菊蕾の根までも枯らし、開花の時をもたらした。

 ぷぅっ、とひとつ。
 間の抜けた音がして、最期の瞬間――

「零さないようにね」
「ッッッ!?」

 容赦ない抜き打ちテストを課された。

――ブッ、ブビッ! ブピビビビィッ!

 瑞々しい白桃の窪みから、茶色い濁流が噴出する。
 その直前、健気な生徒は懸命の努力を試みていた。

「ひッ、ヒィ……! んひぅぅっ……」

――ブビュッ、ビュル、ピュルピュルッ!

 締め疲れ、決壊したばかりの括約筋に鞭を打ち、なんとか排便の出力を絞ろうとする。
 同時に、産卵するトンボのように背中を丸め、少しでも洗面器に対して真っ直ぐ、穏やかに着水させようとした。

 しかし、一度に排出する水量を減らすということは、それだけ排出に要する時間が延びるということ。
 即ち、羞恥地獄に服す時間が延びるということだ。

――ブピュ、ピュ、ピュル、ブピィッ!

 聞くだけで、臭いまでしてきそうな破裂音。
 排便に伴い、自らの肛門がかき鳴らす間抜けなサウンドエフェクトだけで、
 丹はもう舌を噛みきってしまいたいほど恥ずかしかった。

――ピチャ、ビチャビチャッ、ボチャリ!

 それなのに、噴き零した便液が洗面器に落下して立てる水音までもが、二人きりの保健室にうるさいほど響く。

「うっ、ひぅっ……ふぐぅぅ……!」

 他ならぬ自身の尻穴と、そこからひり出される自らの糞便が奏でる滑稽なハーモニーを、初めての人である先生に聞かれているなんて。

 ベッドに突っ伏していた頭が跳ね上がり、救いを求めるように天を仰ぐ。
 無論、そこに神は在らず、潤みくすんだ切れ長の双眸には、ただぼやけた天井が映るだけだった。

 もちろん、聞かれているだけではない。見られている。
 はしたなく肛門を開き、茶色く濁った汚液をひり出す、みっともない姿の一部始終を。

 女性のデリケートな消化器官は、ちょっとしたことで排出エラーを起こす。
 ここ最近、茜のことでずっと想い悩んでいた丹は、深刻な便秘であった。

 溜まりに溜まった便と、一リットルのグリセリン溶液の混合物が、あとからあとからひり出されてくる。
 ドロリとした大きな焦げ茶色の“ミ”の塊や、ほとんどが水分である黄土色の濁液。
 大雑把に『茶色』とカテゴライズされるほとんどすべての色で、
 まだらにカラーリングされたひどく臭う液体が、可憐な少女の愛らしい小尻から噴き出ているのだ。

 それは一種、壮観ですらあった。

 清と汚。グロテスクなコントラストを描く乙女の脱糞姿は、
 まるで一枚の絵画のようであり、前衛芸術のひとつの究極点であるとすら思わせる。

 彼女のクラスメイトである少年たちの憧れを根こそぎにするような禁断の醜態でありながら、
 その光景には確かに、『美』と呼ぶより他にない神々しさがあった。

 しかし、当の本人はそんなことを知る由も無いし、知ったところで、何の慰めにもならないだろう。
 色白の肌は桜色に茹で上がり、大量の脂汗に塗れた痩身は小刻みに震えている。
 怜悧な細面はくしゃくしゃに歪んで、本当に火を噴きそうなほど真っ赤に紅潮していた。

「あっ、あぁっ……あぁあぁぁぁっ!」

 最後に、ブビッ! と一際大きな音を立て、一際大きな塊をひり出して、丹はようやく、悪夢のような羞恥刑を務め終えた。
 こと切れるように崩れ落ち、再びベッドに倒れ伏す。

「うっ、ぐすっ、ひぐっ、えぐっ、うあぁぁんっ……!」

 打ちひしがれた少女はシーツに顔を埋め、激しい嗚咽を漏らし始めた。
 正に身も世も無いといった勢いで、癇癪を起こした幼児のように咽び泣く。
 哀れを誘う痛ましげなその有様をつぶさに見ながら、嗜虐狂いの女呪術師は恍惚さえ浮かべていた。

 可愛くて可愛くて、もっともっと可愛がってあげたい――。

「お疲れ様。よくがんばったわね、丹ちゃん。とっても素敵だったわぁ。うふふっ」

 そんな歪んだ情愛を発露する、絶好の口実がある。

「でも、残念。不合格だわ」
「――え?」

 涙に濡れ、血の気の失せた顔をバネ仕掛けのように振り向かせた丹に、紅葉はシーツの一点を指し示す。

「ここ。零れちゃってるわ」

 ほんの小さな、茶色い点である。
 懸命の努力も報われず、よりにもよってただ一滴だけ、跳ねた飛沫が洗面器の縁を越えていたのだ。

「あ、あぁっ……せ、先生っ……!」

 火のような赤から蝋のような白へと変わった顔色を今度は青にして、縋るように見上げた丹に。

「仕方ないわねえ……ふふっ。追試よ、丹ちゃん」

 満面の笑みでそう答えると、御堂紅葉は再び浣腸の用意をし始めた。

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