茜、バイブをハメられて授業に…… 一時間目、数学


一時間目、数学。

まだ目が覚めきらないうちから、と不評の時間割であるが、
この日の授業は眠気どころではない異様な雰囲気の中で行われていた。

そわそわと落ち着きを無くした教室のあちこちで、ひそひそと囁きあう生徒たち。
前の方に座る生徒たちは、堪り兼ねたように後ろを振り返ってばかりいる。
真ん中や後ろの席の生徒たちも、黒板を見るふりをして、ある一点ばかりを見ていた。

教鞭をとるベテランの男性教師はそんな生徒たちを咎めようともしない。
彼もまた心ここにあらずといった面持ちで、ひどく授業に精彩を欠いていた。
何箇所も板書を間違えたまま、うわ言のような口調で棒読みの説明を垂れ流している。
彼の目は教室全体を見渡しているようで、その実、やはり生徒たちと同じただ一点へと向けられていた。

教室中の視線の先。
異常の原因は、教室ほぼ中央の席に座るポニーテールの美少女だった。

いつもはやたら神妙な顔をして懸命にノートをとり、
わからないところがあれば元気に手を上げて質問する学園のアイドル。
なのに一向に成績の良くならない、愛すべきお汁粉頭――我らが御堂茜である。

いつもクラスの中心で向日葵のように咲き誇っている彼女が、今日は萎れたように俯き、押し黙っていた。
小柄な体をさらに小さくするかのように縮こまり、歯を食いしばって何かを懸命に堪えているようだった。

よく見れば、スカートを握り締めた小さな手が、強張った華奢な肩が、
トレードマークのポニーテールが、ぷるぷる、ぷるぷると、小刻みに震えている。

そんな茜から立ち昇る桃色の空気が教室中に広がり、平凡な授業風景を淫靡な色に染め上げていた。



(お願い、お願いだから早く終わって……!)

愛らしく整った童顔を苦しげに歪めて、茜は必死に耐えていた。

「んっ……ふっ……!」

形の良い小さな鼻から、艶っぽい吐息が漏れた。真一文字に引き結んだ唇がピクピクと震える。
懸命に抑えこもうと頑張っても、声が出ないようにするのが精一杯で、呼吸が甘く乱れるのはどうしようもなかった。

(耐えてっ、我慢しなきゃ、茜っ……! ああ、でも……こんなっ、こんなのっ、恥ずかしすぎるよぉ……)

すぐ近くの席に座るクラスメートに、自らの恥ずかしい異状を悟られるわけにはいかない。
授業開始からまだ十五分。
茜には自身の変調を周囲が半ば見抜いていることに気づく余裕もなかった。

「はっ、んんっ……ふっ、ふぅ、はっ、んぅ……」

湯あたりしたように火照った体は、時間とともにますます熱くなり、茜の思考はふわふわと浮かび始めていた。

心地よい浮遊感。
意識を手放したくなる誘惑に抗い、ぐっと奥歯を噛み締め、とろんと潤みかけていた瞳を無理やりに見開く。

そんな涙ぐましい努力の甲斐あって、茜はまだなんとか理性を保つことが出来ていた。
今、茜を責め苛み、極限の忍耐と恥辱を強いているもの。


それは、彼女の秘所に深々と埋め込まれた、無機質に振動を続ける極太のバイブレーターだった。


(ううっ……こんな恥ずかしいことさせて、何の意味があるっていうの……あの人は、そんなに、そんなに私が憎いの?)

『今日一日、性器にバイブを挿入れたまま過ごすこと』

今朝の登校中、御堂紅葉に不意打ちされ、強いられたのがこの辱めである。
バイブレーターそのものは既製品であるが、邪術師・御堂紅葉謹製の強力な呪いが施されていた。

自力では抜けない。退魔の力を使えず、身体能力も著しく低下している。
そして何よりも、誰かに助けを求める行為さえ封じられていた。
直接話すことはもちろん、紙に書く、携帯を打つなども試したが、いずれも徒労に終わった。

呪いのバイブに関して他者に伝達しようとする意思を持つと、
行動に移す前に体を乗っ取られたようになり、代わりに当たり障りのない行動をとらされる。
加えて、用意周到な紅葉のことである。間違いなく、茜の一部始終を監視しているに決まっていた。

つまり、茜に自力での状況打破は不可能ということである。
このままでは、茜は今日一日、御堂紅葉の思い通りに、恥辱の学園生活を送らねばならないのだ。


ヴィィィィン……。

(っっ!? くぅっ、好き放題してくれちゃってぇ……!)

もちろん、バイブはリモコン式の電動バイブである。
おそらく最弱のレベルに設定されていた振動が、一段階強くなった。

「ふっ、ん……ふぅ、ふぅ……んんっ」

手足をありったけの力で固め、薔薇のような唇が白く血の気を失うほど引き結んで、耐える。
少しでも気を抜けば、あられもない嬌声を漏らしてしまいそうだった。

無機質な振動愛撫に責められ続けた膣壁は、すでにぐっしょりとほぐれ、しとどに蜜を吹き零していた。
可憐な純白の下着は、いやらしい牝蜜に濡れそぼって透けている。
粘り気のある液体が染み込んだ布地は、バイブを咥え込まされた肉土手にぴったりと貼りつき、
秘裂から余り出た基底部の円筒形を浮き彫りにしていた。

最弱のレベルにあってさえ、登校の途中から間断なく震え続ける極太の張り型は、十分に茜を追い詰めていた。
しかし、サディストの女邪術師が、恨み積もる美少女退魔師に情けをかけるはずもない。
容赦なく責めの強度を引き上げられて、茜はさらなる忍耐を強いられる。

ヴィィィィ……ヴィィィィ……ヴィィィィンン……!

激しさを増した股間の振動。
最も直接的な性感が集中する秘壷に一点集中。

それはあまりに無駄が無く、ただただ効率的で、それゆえ残酷な責めだった。

「っっ! っっっ! っっっっっ!!」

固く目を閉じ、机の上に置いていた両手を下腹部に押し当てる。
椅子の上で、小柄な体がボディブローに悶絶するボクサーのように丸まった。

呪いによって弱体化された体は重く、だるい。
弱音を吐く肉体に気力の鞭を入れ、総身の力を振り絞って、耐える。

そんな風に全力を尽くして抗う茜は哀れで、そして滑稽だった。

必死で戦っている相手は、電池を動力に単調な振動を繰り返すだけの、安物のプレイ用玩具なのだ。
しかも敗色は濃厚。自分自身の肉体にも裏切られようとしていた。
単調な刺激で掘り返され、浅ましく点火された自らの肉欲と、自作自演の死闘を繰り広げる美少女。

級友たちを観客に演じさせられる茶番劇に、それでも主演女優は全身全霊を賭けていた。


「ふぅ、ふぅ、あっ……ん、んん……はぁ、はぁ、はぁ……」
(だめっ、だめぇ……我慢、しない、と……みんなにっ、気づかれちゃうぅぅ……!!)

クラスメートたちに悟られまいとする涙ぐましい努力は、すでに意味を成していない。

天真爛漫で、他人の視線に無頓着な茜は全く気づいていないことだが、
クラスの男子たちは普段から暇さえあれば憧れの美少女を盗み見ているのだ。
そんな彼らが、これほどあからさまな自分たちのアイドルの変調に気づかないはずがなかった。

生徒たちに相対してその様子に注意を払うのが常である教師はもちろん、
誰からと無く色めきたった男子たちの様子に、女子たちも鋭く察していた。

しかし、気づいていながらただ遠巻きに観察しているだけで、教師も含めて誰一人として、茜を問い質そうとはしない。

茜の異状の正体が性的な興奮であることは誰の目にも明らかだった。
そして、その全員が、見てはいけないものを見た後ろめたさに凍りついていた。

クラスメートの男子生徒たちが、何度も何度もサルのように、オナニーのオカズにした学園のアイドル。

だが、いざ現実に、そんな憧れの美少女の痴態を前にしたとき、
青い性欲を持て余す少年たちでさえ、即物的な情動よりも禁忌を侵す畏怖が勝った。

彼女の親しみやすく分け隔てのない性格を持ってさえ(あるいは、それゆえになお)、
御堂茜という圧倒的な存在は、何の変哲もない人間にとって、侵すべからざる神聖な偶像なのだ。

それは、美少女という存在が内包する、一種の原罪だった。




それにしても、深々と奥まで突き刺さったバイブレーターは、随分と凶悪な形状をしている。

極太である。
はっきりと数字にするなら、細い部分でも直径四センチを下らない。

通常時の膣の横径は、経産婦でも五・五センチほどという。
それなのにこの張り型は、亀頭やカリに相当するところでは七センチ近くもあるのだから、たまったものではない。

長さの方は、約十八センチ。
特にインパクトのある数字ではなく、常識的な範囲の大きさに思えるかもしれない。
しかし、現実的な膣の長さに合わせて丸ごと膣孔に咥え込ませようとするなら、これは十二分に凶悪な数字である。

事実、妖魔による人外の陵辱を少なからず経験している茜でさえも、長さ、太さとも限界ギリギリのサイズだった。

「んっ、ふっ、ふぅぅ……! はっ、んっ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……!」
(くぁぁぁ! ああ、辛いっ、キツイよ、これ……でも声だけはっ、声だけは、ああっ、んぉぉおお!)

未だ周囲には気づかれていないと思っている茜。
いたいけな少女の膣洞は、そんな凶器にも等しい擬似男根で無残に押し広げられていた。
性感神経の張り巡らされた肉襞は極限の拡張を強いられ、表面積いっぱいまで使われて、不断の振動責めを浴び続けている。
ヴィィン、ヴィィンという唸りは、その威力を満身で味わう媚粘膜を通して、茜の胎内に轟音となって響く。

さらに、凶悪な『形状』というからには、なにもただ大きいというだけではない。
あの御堂紅葉が、茜用にと手ずからあつらえた責め具である。
茜の中心を完全征服する男根型のボリュームだけで、その全容のはずはなかった。


ぱっくりと広げられた秘裂から、わずかに余り、顔を出した擬似ペニスの根元。
そこには、本物の陰茎には存在しない突起が凶々しく隆起していた。

鉤型をした小指の先ほどの突起は、女芯に埋められた本体の在り処を指し示すように飛び出している。
その先端は、ピタリと茜のクリトリスにあてがわれていた。
女体の中で最も性感を得られる部位といわれる陰核を、余すことなく責め抜こうというのである。

その工夫は人類が娯楽としてのセックスを追及した果てに辿りついた、一つの確かな成果だった。
馬鹿馬鹿しいといえば馬鹿馬鹿しいことこの上ない。しかし現実に、その威力は凄まじいものがあった。

(ううっ、こんなの、ひどいよ……あそこだけじゃなくて、クリトリスまで一緒にっ、なんてっ……くぅっ!)

ずっぽりと媚肉に埋まったバイブレーター。
余すところなく快楽神経を掘りかえされる肉ヒダから、止め処なく湧きあがる深い官能。
それは甘く、心地よい悦びだった。耐えようと力む茜の体を、甘い酩酊へと誘ってくる。

一方で、小突起の微細振動に晒された淫豆からは、刺すように鋭い快楽が迸る。
背筋を電流のように駆け上がる激感に、子宮は高鳴り、脳髄は熱く煮えた。

ゆったりと淫落の底にいざなう根源の官能。
強烈に絶頂へと追い上げてくる背徳の衝動。

対照的な二つの快楽は、忘我と覚醒、背反する二つの精神状態へと、同時に茜を追いやろうとしてきた。

心地よさに浸りかけたところを、冷や水を引っ掛けるような激感に打ち据えられ、
あまりに鋭利な快楽が苦痛へと変わりそうになれば、ぬるま湯のように優しい官能で慰められる。


もう、わけがわからない。


うつむき、苦しげに歪んでいた童顔が恍惚に弛緩し、ゆっくりと持ち上がっていった。
額ににじむ脂汗が上気した頬の優美なラインを流れ、おとがいへと垂れる。
顎が上がり露わになった白い喉の内側を、法悦の吐息が行き交う。


「はっ、はっ、ふぅぅ……。はぁ、はぁ、んふぅぅぅん……」

いやらしく息が乱れるのを抑えなければ、そう思っていたことはすでに茜の脳裏から溶け消えていた。
無理に押し殺すのをやめた呼吸はかえって規則的なものとなり、どろりと熱く、ねっとりと甘く、ふいごのように吹きだされる。


(ふぁぁ……気持ちいい……ふわふわするぅ……)

制服の胸部分を持ち上げる豊かなふくらみ。
ブラジャーのカップに包まれた乳丘の谷間はじっとりと汗ばみ、頂の粒果は痛いほど充血していた。

きつく絞っていた膝は離れて、はしたなく広げるように外を向きそうになる。
むしゃぶりつきたくなるような太ももを遡ったその奥で、占領された女の源泉は粘っこい本気汁で溢れた。
クロッチの貯水限界をとうに超え、染み出た蜜がイスまで垂れている。

もはや陥落寸前。これ以上の快楽は苦痛でしかないほどの茜の感じようである。
だが、ただひたすらに振動するより他に能のないバイブレーターが、そんなことを知るはずもない。

茜の大事なところを、我が物顔で嬲り尽くす機械仕掛けの暴君。


「はぁ、はぁ……んっ! はー、はあぁ……んむっ! んっ、んふぅっ! あぁ……」

(ああ、コレだめ。もうだめ、私。イッちゃう……もう、イキたいよぉ……!)

――気持ちよくなるのは、もう仕方ない。みんなにバレさえしなければ、それで大丈夫。

茜が自分にそう言い聞かせ、絶頂へと続く階段へと踏み出す決意をさせられてしまった、その時。


「えー、では……。残りの時間は……演習にしよう……。○ページから○ページまでの小問を、各自で解いていくように」

まだ授業時間は二十五分近く、半分ほども残っているのに、ベテラン教師は授業の進行を諦めた。
集中を欠く生徒たちに匙を投げたというのもあるが、彼自身とても授業などしていられる状態ではなかった。
それだけ言うと教室の角に置かれたパイプイスに腰掛け、ふくらんだスーツの股間を見られないようにする。

もちろん、真面目に問題を解く生徒など一人も居ない。
これ幸いと茜に注がれるクラスメートたちの熱視線。
中には、問題を解くふりも、視線に気づかれないように配慮することさえせず、じっと凝視する者までいた。
指導する立場にある教師からして、資料を確認するふりをしながら茜へと視線を送っている。

かくして、残りの授業時間は痴態を演じる学園のアイドルをみんなで視姦する時間となった。


一方、達してしまいたい欲望に駆られた茜には、教師の指示さえ聞こえていない。
残っている理性は、ただ声を出さないようにすることだけだった。
絶頂への渇望に毒された美少女は、聖域を蹂躙される快美感を一心不乱に貪っていた。

ヴィィン、ヴィィン、ヴィィン――。

「んっ、んふっ! んっ、ふっ! んっ、んふっ、ん……っっっっ!!」

(ああイクっ……わたしイク、イッちゃう……! 授業中なのに、えっちなオモチャでイッちゃうのぉ……!)

いよいよ、最後の滑走に入った。
一際高まる期待と興奮。
いざ頂へ飛び発とうと、全身を突っ張り、

「……………っ!??」

(どう、して……そんな、そんなぁ……!)


バイブレーターが、その動きを止めていた。


九合目も過ぎようかというところで食らわされた、おあずけ。

もどかしく焦れた子宮を、かきむしりたくてたまらない。
メロメロにされた牝粘膜は、たくましい模型男根にすがるように絡みつき、「イカせて、イカせて」と懇願する。
形のいい眉を八の字に歪め、モジモジと身をよじってしまう。

(もうちょっとなのにっ、もうちょっとだったのにぃ……!)

どうにもならない。
いくら希っても、胎内の張り型は微動だにしなかった。
最高潮寸前だった快楽曲線が、ゆっくりと下降線を辿り始める。

引いていく快楽の波とともに、のぼせた頭に正常な思考が戻ってくる。
そしてようやく、自らに突き刺さるいぶかしみの視線に気づいた。

ハッとした茜が辺りをキョロキョロ見回すと、何人もの級友たちと目が合った。
みんな気まずそうに視線を逸らし、わたわたと問題を解いているふりをする。
疼いていた体が、急速に冷えていく。

(私、授業中に何してるのっ……! こんな辱められて、気持ちよくなっちゃうなんてっ)

今は学校の授業時間中であり、股間の張り型は不倶戴天の敵に仕込まれた辱めだというのに――!

年頃の少女として、誇り高き退魔師として、あるまじき行為に耽っていた自分に怒りを覚える。
その怒りを糧に、どんな陵辱を受けても必ず立ち直ってきた茜の頑健な精神力が、脅威のリカバリーを始めた。

今日一日、極太バイブをハメられたまま過ごさなければならないのはどうしようもない。
だが、絶対にあの残忍な女邪術師の思い通りになどなってはやらない。
学園の仲間たちの前で、無様に痴態を晒す自分を笑いものにしたいのだろうが、そうはいくものか。

(絶対に負けたりしないんだから! 耐え切って、あの人を見返してみせるもん!)

玩具一つで正気を失くす感じやすい体を、笑いたければ笑え。それでも折れない心を見せてやる――!


そんな、茜が闘志を取り戻す瞬間を待ってやり、狙っていたように、

ウィィィィィィィン――。

股間に咥えこまされたバイブレーターが、再び、静かに震えはじめた。


「ふぅっ!? ……っ、くぅぅっ!!」

悪魔的なタイミングで出鼻をくじかれ、わずかに声が漏れてしまう。
幸か不幸か、自分たちの偶像を守りたいクラスメートたちは、ドキリとしながら聞こえなかったことにする。


再開された振動は、止められる前よりも一段階弱い。恐らくは最弱の設定だろう。
それでも極太のサイズと相まって、悶絶しそうなほど強烈だったはずだが、慣れというものなのか。
ついさっきまで一段階上の強度で責められていた茜には、物足りないようにさえ感じられた。

もちろん感じないわけではない。
暖かいスープにひたされるような心地よさは振り払えそうもなかった。
しかし、媚肉にざわめく悦情は、持ち直した今の茜なら十分に我慢できる範囲である。

(これなら……いける!)

虚ろだった瞳に焦点が定まり、思考にかかっていた靄が少しずつ晴れていく。
授業の進行がどうなっているのか気を回す余裕が生まれ、どうやら演習の時間らしいと理解できた。
ペンを握り、開いた教科書とノートに目を落とし、問題に向かっているふりをする。

――これならちょっとぐらい顔を歪めても、わからなくて困っているように見えるだろう。
少なくともこの数学の授業中は、みんなに気づかれずに誤魔化しきれる――。


茜はまだクラスメートたちにバレていないと信じていた。
先ほど向けられていた視線も、優しいクラスメートたちは調子の悪そうな自分を心配して見ていたのだと思っている。
まさか、感じている自分の淫らな姿に劣情を抱き、目で犯していたなどとは思いもしない。
みんなには絶対に気づかれまいと、必死で平静を繕う茜。


滑稽なピエロを演じてしまう茜を、バイブレーターは――そのリモコンを握る御堂紅葉は、弄んだ。


乱暴にほぐされた媚粘膜に、微弱な振動は優しく慰められているようにさえ感じられる。
緩慢に訪れる快楽の波。

――だが、自分の精神力という防波堤を超えるほどではない。

踏みとどまれている、という誤った認識のまま、茜はじわじわと流されていく。

蜜壷全体が、揺り篭にゆられているようだった。
一度は堰を閉じつつあった女の源泉は、再び水量を増し始める。
不愉快に冷えていた下着に、新たに湧きだした温かな牝蜜が染み込む。

躁鬱にも似た、陥落寸前からの急激な復調は、茜に過信を抱かせていた。

甘く乱れはじめた吐息、ぽかぽかと火照りゆく体。
そんなあからさま信号さえ見落とした茜は、順調に『下ごしらえ』を整えられてしまう。

積年の恨み積もった茜の様子を、御堂紅葉は遠見の術で克明に観察していた。
やがて、とても絶頂までは届かない刺激に、ゆるやかな上昇を見せていた快楽曲線が横ばいになる。
女邪術師は、険のある美貌の口端を愉悦に歪めて、リモコンのスイッチをスライドさせた。



「っっっっ!?」

(そっ、ん、なぁぁぁ!?)

――ヴィィィィン! ヴィィィィィン! ヴィィィィィィィィン!!

「んんっ、おっ……ふっ、っっっっ……!」

(やっぱり、わたし、馬鹿だ……当たり前だよね。全部、あの女[ひと]の掌の上なんだから……)


衝撃は、世界が揺れたかと思うほど鮮烈だった。
膣孔が、子宮が、沸騰する。
全身を電流が駆け抜け、脳天をつんざいた。
視界はチカチカと真っ白に明滅し、淫欲と理性のせめぎあいにプルプルと痙攣する肉体。

高水準で停滞していた肉欲ゲージが、一足飛びに跳ね上がる。

理性と本能の勝負はあっさりと決した。
気合を入れなおしたはずの意思力は、牝穴から炸裂する激悦の前に惨敗。
かくして浅ましい牝本能は茜の心も体も乗っ取って、絶頂へと走り始める。

「んっ、んぉっ、ふっ、ふぁぁ……んんっ、あひぃ……」

ぐずぐずに蕩かされながら、それでも無意識に反応を抑えようとはしていたが、ついに押し殺した嬌声を漏らしてしまう。
官能にさらわれた体がくねくねと淫らに動くのを、もう止める術がなかった。

小康状態から一転、色っぽい吐息の音色にのせて、淫らなダンスを踊りはじめた学園のアイドル。
教師とクラスメートたちは、彼らの天使が放つ凄まじいまでの色香に引き込まれ、食い入るように見入っていた。

グングンと上昇する快楽曲線。
それは間もなく最高点へと突き抜け、茜を法悦の極みへと到達させるはずだった。
しかし、そうはならないだろう。
直感と、情欲に支配された脳髄のどこかに残っていた冷静さで、茜はそれを悟っていた。


バイブレーターが、またもその機能を停止する。

それはやはり、もう少し、あとほんの少しで飛び立てるという、その瞬間だった。


余りにも意地悪く、執念深いやり口。
蛇のように残忍な女邪術師が、どうやって自分を嬲ろうとしているのか。
そのことに思い当たって、冷えていく肉に伴い醒めていく思考で、茜はただ恐怖に震えた。
膣ヒダと一緒に削られた気力は、もはや負けん気を呼び起こせるほど残っていなかった。

茜は泣きたくなった。
荒野のように果てしなく、生殺しの地獄が待っているのだ。




ヴィィィン!! ヴィィィン!! ヴィィィン!!

「ああっ、んふっ、くぅぅ……!」

(気持ちイイ! 気持ちいいよぉぉお! ああイクっ、もうイッ……)

ウィィィ……ウィィィ……ウィィィン……。

(またっ、またなの?! どれだけ嬲りものにすれば気が済むの……)




「んっ……ふぅ、はぁはぁ……」

(やっとおさまってきたけど、どうせまたそろそろ……)

ヴィィィィィィィィィンッッ!!

「っっ、おふぉぉっっうぅ……!!」

(ああキタぁっ! いい加減にしてっ、もういい加減にしてよっっ……!)




バイブレーターの強弱、つまり御堂紅葉の指先ひとつで、茜は何度も何度も山を上り下りさせらた。
それはずっと同じ高さで飛び続けるよりも遥かに気力と体力を消耗する行為だった。

茜の意識はもう淫洞を貫くバイブにしか向いていない。
そんな学園のアイドルが魅せる淫らなショーを、彼女を除いた教室中の全員が見守っていた。
信じられない眼福の光景を一秒たりとも見逃すものかと、まばたきさえ忘れるほどの熱心さである。


だが、茜にとっては地獄の、教師とクラスメートにとっては至福の時間にも、ついに区切りの時が来た。
一時間目の終了を告げるチャイムである。
目を皿に、口を半開きにして見入っていた中年教師は、その鐘の音でようやく正気を取り戻す。

「……あ、あー、えーと……きょ、今日はここまでだ。委員長」

「っ!? ……あ、は、はいっ! えー、あー、き、きりーーーつ!」

次いで、教師に呼びかけられて、すっかり委員長としか呼ばれなくなった男子生徒も現実へと引き戻された。
何百回と繰り返した役目である挨拶の号令をかける。

教室中の生徒たちがハッと夢から覚めたように驚き、いそいそと立ち上がっていく。

これに一番慌てたのは、もちろん最も彼方へと浮遊していた茜である。
それも振動の設定は強い方で、絶頂寸前まで昂ぶり、もうすぐまたおあずけされようかというタイミングだった。

(た、たたなきゃ……っ!??)

咄嗟の拍子に、ひどい内股になりながらもなんとか立ち上がった茜を、さらなる驚愕が襲った。


バイブレーターの振動が、もう一段階、強くなったのである。

(そ、そんっっ、なっっ……ああぁぁぁああああぁぁあぁぁぁ!?)


「礼!」

委員長の少年がそう号令をかけた瞬間、茜はアクメへと達していた。



「っっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!」



生殺しに生殺しを重ねられた末、ついに賜わされた絶頂の快感は、壮絶だった。

マグマのように噴き上げる激悦の奔流。
あまりに凄絶なアクメに、声を出すことも許されず、息をするのも忘れていた。

頭を垂れるクラスメートたちの中心で、ただ一人、背骨が折れんばかりに反り返り、ビクンビクンと痙攣する茜。

大きな瞳はさらに大きく見開かれ、酸欠の魚のようにパクパクする口からは桃色の舌を突き出していた。

ビショビショに濡れそぼった純白のショーツ。
その奥で、ずっぽりと極太バイブを咥えこんだ淫裂はめくれ返り、真っ赤に充血した内側の肉を晒していた。

真円状に広がりきった牝穴のすぐ上にある極小の点のような穴、
尿孔からは、透明な液体が間欠泉のように、ピュッピュッと断続的に噴き出している。

潮吹きだった。

吸水機能が限界に達したクロッチに受け止められるはずもなく、女汁は太ももを伝い落ちていく。



「着席!」

一斉に座るクラスメートたちと同時に、果てた茜は椅子へと崩れ落ちた。

背もたれに支えられ茜は息をするのも上手くできかった。
肉欲を満たされた体は、酸素不足の苦しみさえ気持ちよく感じる。
焦らしに焦らされて迎えた凄絶なアクメの余韻に、恍惚と蕩けきった顔でひたっている学園のアイドル。


わけもわからぬクラスメートたちは、形容しがたい奇妙な滾りを持て余しながら、そんな茜を見つめていた。


虹源学園の一日は、まだ一時間目が終わったばかりである。

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